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仮想通貨マイニングはゴールドラッシュ:儲けるのは電子ツルハシ屋か、はたまた・・・

ビットコインが急速に市民権を得るようになり、本物のお金と同じようにビットコインが決済の手段として利用されるシーンが増えてきました。

 ビットコインは、円やドルなどの実際(旧来)の通貨を両替して手に入れることができる仮想通貨ですが、コンピュータを使った採掘(マイニング)によっても手に入れることができます。2016年現在、ビットコインの採掘を効率よく行うためのASICと呼ばれる専用機が開発されています。

ビットコインの採掘をするために使用するASICの価格は、安いもので数万円、そこそこの品で数十万円、高速なものでは100万円を超えるものもあります。

ビットコインは、採掘速度が向上すると採掘難易度が上昇するようにあらかじめ設定されているので、現在の熾烈な採掘競争の中、採掘難易度はうなぎのぼりとなっています。高速で高額なASICが登場すると、そのASICが採掘を独占してしまうとともに、採掘難易度を引き上げてしまうので、低速低価格のASICは太刀打ちできずゴミ同然になってしまいます。初期型のASICではもう満足に採掘することはできず、採掘速度が高く消費電力が低い最新のASICを購入して他の採掘者に対する優位性を維持し続ける必要があり、まるで自転車操業の様相です。

このため、現在では、採掘されたビットコインの価値がASICの消費電力を上回るかどうかというレベルまで採掘競争が進んでいます。

今からビットコインの採掘を始める場合には、

  1. 高速な最新型のASICを購入するために投資して、その優位性があるうちにがっつりと採掘をして投資元本を回収して、さらに利益を得る。
  2. 高速なASICを一定期間レンタルして、採掘したビットコインの価値とASICのレンタル料の差額を得る。
  3. 利益をあきらめ、趣味として細々と採掘する。

のどれかが必要になります。

ところで、最近のビットコインの熱狂と同様のことが、はるか昔に起こっています。1848年ごろにアメリカ合衆国のカリフォルニアで起きたゴールドラッシュです。人々は、ツルハシ片手に大挙し、わずかなゴールドを得るために掘りまくりました。しかしながら、このゴールドラッシュで本当に利益を上げたのは、ゴールドを掘り当てた採掘者ではありませんでした。

ゴールドの採掘をするためには、採掘道具が必要です。ツルハシやゴールド選別用のパンニング皿などを販売する事業が伸びることに目を付けた人々は、汗水たらして採掘する人々を横目に、確実な収益をあげました。さらに、ジーンズで有名なリーバイスは、”採掘の過酷な環境でも破れにくいズボン”と銘打って、単なるデニムパンツを”屈強な男のアイテム”としてブランド化しました。リーバイスは、その後、現在に至るまで、高品質なジーンズを生産するメーカーとして繁栄しています。このように、ゴールドラッシュで本当に成功したのは、当たるも八卦当たらぬも八卦の採掘者ではなく、この採掘者たちを相手にビジネスを行った人々です。

では、ビットコインの採掘で本当に成功するのは誰でしょうか。ゴールドラッシュの例によれば、ツルハシの電子版であるASICを開発・生産・販売する業者が有力です。ASICの消費電力が採掘したビットコインの価値に見合っても見合わなくても、ASICが売れれば彼らは利益を上げることができます。また、採掘されたビットコインが円やドルなどの実際の通貨に両替されるとなると、いわゆる両替商(取引所)が手数料を得るチャンスが生まれます。

過酷な採掘競争へ突き進んでいる今、ビットコインから本当に利益を得ようとした場合に、採掘者になるのか、採掘器具を売る業者になるのか、はたまた他のサービスの提供者になるのか。。。少なくとも採掘者は大成しないように思われます。