minimalistic

がんばらないで自由になるためのブログ

会社法第433条第3項に基づく会計帳簿閲覧を行使するために裁判所の許可を求めてみる

こんな記事を読む人はいないだろうという超ニッチなネタですが、親会社の頭越しに子会社の会計帳簿を閲覧しようとする際に必要となる実務について紹介します。

 

会社法第433条第3項とは

会社法第433条第3項とは、こんな法律です。

第433条(略)

2(略)

3 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿又はこれに関する資料について第1項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

4(略)

簡単に説明すると、「親会社の株を持っている人は、裁判所の許可を取れば、親会社の意向を無視して子会社の会計帳簿等を覗ける」という法律です。

会社法第433条第1項では裁判所の許可が不要でしたが、3項は子会社の直接の株主ではない人が子会社の帳簿を見るという権利なので、その目的の正当性を裁判所がチェックするというのが特徴です。

今回、この法律に基づいた株主権の行使のために裁判所に申立書を出してみたので、記事にします。

433条第3項の裁判所の許可を得るために必要なモノ

正当な権原

会社法第433条第3項の場合、閲覧を求める対象となる子会社の親会社株主であること、それも発行済み株式数の3%以上を保有する(親会社の会計帳簿等閲覧権を有している)株主でなければいけません。二人以上で共同して3%を超えていれば、共同保有として権利行使できます。

正当な理由

まずこれがないといけません。なぜ会計帳簿等を閲覧するのか?何の調査をしているのか?です。もちろん、会計帳簿の情報を商売敵に売ったりおかしなことに利用するのはご法度です(会社法第433条第2項各号)。これは会社法第433条第1項の場合と同じです。いやがらせに使うのはダメですよ~

裁判所への提出物

会社に対して申し入れする前に、裁判所に対して許可を求める申立てをします。この際に、以下のものが必要になります。

申立書

特に決まった書式はありませんが、以下の事項が記載された書面を作ります。

  1. 申立日
  2. 申立人の氏名又は名称及び住所(申立人の認印を捺印する)
  3. 申立てに係る会社(子会社)の商号及び本店所在地並びに代表者の氏名
  4. 申立ての理由(申立人の持ち株数と比率、会社法第433条第2項に該当しないことの表記、閲覧・謄写を行う"ある程度具体的な"目的を記載する)
  5. 申立ての趣旨(何が見たいのか、閲覧だけでいいのか、謄写(コピー)も欲しいのかを、ある程度具体的に記載する)
  6. 切手の予納(下記の金額を切手で予納する旨を記載する)
  7. 費用の納付(下記の金額の印紙を貼付する旨を記載する)
切手

裁判所との間の連絡等に必要な切手を予納します(台紙等には貼らず、袋などに入れて添付する)。令和元年10月以降は、3,811円(500円x6枚, 84円x9枚, 10円x4枚, 5円x3枚)です。

収入印紙(郵便局で買えます)

閲覧・謄写を請求する書面の種類ごとに1,000円の収入印紙を申立書に貼る。(1種類なら1,000円、2種類なら2,000円・・・)

添付書類

申立書と一緒に下記の書面を添付して郵送・提出します。

  • 自分の持株数を証明する書面(証券会社の口座残高証明書)
  • 親会社の発行済み株式数がわかる書面(履歴事項全部証明書)
  • 子会社の代表者を特定する書面(代表者事項証明書
  • 親会社と子会社の関係がわかる書面(直近の有価証券報告書の写し)

上記のものを封筒に入れて、閲覧したい帳簿等を保有している会社を管轄する地方裁判所に郵送・持ち込みします。これで申立てを受け付けてもらえます。

申立人の電話番号を記載しておくと、不足している書類や書面の不備があったときに裁判所から連絡を貰えます。電話番号を書いておいたほうがよいと思います。

 

 

送ったばかりでまだ許可がもらえるか分かりませんが、進展があったらまた記事にします。