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個人投資家が機関投資家に勝つための基本戦略

個人が株投資をするとき、資金力のある機関投資家の動きを無視することはできません。情報収集能力だって機関投資家の方が圧倒的に優れています。個人投資家機関投資家に勝つためには、このような格差を考慮した具体的な戦略が必要です。f:id:SITARA:20180323223937j:plain

 

はじめに

機関投資家とは

機関投資家とは、個人投資家などから資金を集めて運用する団体や法人を指します。たとえば、保険会社、投資信託、信託銀行、投資顧問会社、年金基金などが機関投資家と呼ばれています。

機関投資家は、他人のお金を預かって投資をするので、個人投資家が単独で投資する場合よりも多くのお金を動かすことができます。また、機関投資家は、資金を出してくれた人に利益を還元できるように努力する義務があります(努力したからといって利益を出せるわけではないですが・・・)。

機関投資家の資金力

機関投資家は、数億円~数十億円の資金を集めて投資をします。また、個人投資家でも、十億円以上の金融資産を持っていて国に届出をすると機関投資家扱いしてもらうことができます。

一般的な個人投資家からみれば桁が違う世界で機関投資家は戦っています。

機関投資家は不自由

圧倒的な資金力を持つ機関投資家ですが、有利な点ばかりではなく、不利な点もあります。その最も特徴的なところが、「他人の金」という点と「団体」という点です。

「他人の金」は減らせない

他人のお金を運用するということは、「利益が少ないと叱られる」ということです。それどころか、損失を出したら袋叩きにあいます。損失を出すリスクと引き換えに利益を得るチャンスを狙うという株投資の本質から見ると、負けが許されない機関投資家はものすごい重圧を背負っています。

「団体」には行動基準が必要

多くの機関投資家では、複数の人間が投資方針を決定し、その方針に従って複数の人が取引を行います。規模が大きくなればなるほど、個人のファインプレーは敬遠されます。投資行動に一定の基準がありその基準によって行動が制限される点が、機関投資家の強みでもあり弱みでもあります。

個人投資家の強み

個人投資家にも投資方針はあるが・・・・

個人投資家の皆さんは「投資方針」を定めているでしょうか。多くの人はガチガチのルールではなく柔軟(悪く言えば曖昧)なルールの下で株を売ったり買ったりしているのではないでしょうか。機関投資家と違い、個人投資家の場合は、投資方針の変更に他人の許可がいりません。変えようと思えばルールなんていつでも変えられます。投資期間を変更したり、場合によっては含み損を無視して塩漬けにするなど、機関投資家にとって御法度レベルのことも、個人投資家にとっては戦略の一部です。個人投資家機関投資家に勝とうと思ったら、機関投資家に勝てるルールの下で投資するように戦略を考えることです。

個人投資家がとるべき戦略

機関投資家と勝負しない」という戦略

「勝つ」、「負ける」という話をしているのに「勝負しない」というのは一見おかしな話ですが、ここでいう「勝負しない」とは、機関投資家と同じ土俵に乗らない、という意味です。機関投資家が彼らの主戦場で勝ちまくっていても、個人投資家が自分の主戦場で勝っていれば良いのです。

機関投資家が参入できない場所=個人投資家の居場所

上場株の投資において、機関投資家には、その規模の大きさが仇となって参入できない場所があります。それは、「時価総額が小さな会社」、「株式売買高が少ない会社」、そして「再建過程にある会社」です。

時価総額が小さな会社」は、具体的に言えば時価総額百億円未満の会社が該当します。多額の資金をこのような小さな会社に投じると、自分の買いで暴騰し自分の売りで暴落するという状態となって身動きが取れなくなってしまいます。したがって、機関投資家では、そもそもの投資対象からこれらの小さな会社を除外しています。

「株式売買高が少ない会社」は、具体的には2部銘柄や地方取引所単独上場銘柄が該当します。東証2部は比較的株式売買高が多いので機関投資家の参入もありますが、名証、札証、福証のような豆粒レベルの取引所の2部銘柄は、「一日に数単元売買されれば多いほう」、「売買なしの日もある」というものです。したがって、機関投資家にとってみれば、株式売買高が少ない会社は「手間に見合わないから見る価値すらない」という扱いで投資対象から除外しています。

「再建過程にある会社」は、具体的には「株主資本がマイナス」、「利益剰余金がマイナス」など、過去の失敗によって資産を大きく減らした会社が該当します。多くの場合これらの会社は再建を完了することなく消滅してゆきますが、運よく本業や新事業を軌道に乗せることができる会社もあります。しかしながら、資本部分が大きく棄損された会社というのは、他人の金を運用する機関投資家にとってはリスクが大きすぎるらしく、今の業績が良くても、今後の業績・財務改善が見込まれていても投資対象から除外されています。

これらの「機関投資家が買えない株」こそが、個人投資家が投資すべき会社です。個人投資家の居場所は、機関投資家が入ってこれない場所にあります。

個人投資家は自己責任の下で機関投資家よりもリスクを取れる

時価総額が小さく」、「売買高が少なく」、「再建途上にある」会社というのは、機関投資家が参入しない反面、機関投資家が普段扱う銘柄よりもリスクが高いものです。しかしながら、他人の金だから目減りさせられないという機関投資家と、余剰資金でリスクを取って資産成長を目指す個人投資家とは、甘受できるリスクの大きさが大きく違います。個人投資家機関投資家を比較すると、機関投資家の方が圧倒的に弱気なのです。

多くのリスクを取れるということは、つまり、多くの利益を得られる確率が高いということです。さらに、機関投資家が参入しないところはアナリストもカバーしませんから、情報収集の点においても機関投資家個人投資家の格差が小さいといえます。

個人投資家にとっての「機関投資家の利用価値」は出口戦略にある

機関投資家と勝負しないという戦略において一番美味しいのは、「エグジットで機関投資家を利用する」点です。

上記の「機関投資家が買えない株」が「機関投資家が買える株」に変わったとき、一定の基準に従って行動する機関投資家は、この株を買います。むしろ喜んで高値で買ってきます。たとえば、東証2部やマザーズに上場している会社が1部指定になったときに、機関投資家ETF用に機械的に買う例があります。また、再建完了して正常化した会社について言えば、機関投資家にとっては「持たざるリスク」で買わざるを得ないこともあります。個人投資家は、機関投資家がこれらの理由で株を買うタイミングに合わせてその株を手放すことで、機関投資家が取れなかったリスクに見合うリターンを得ることができます。もちろん、会社の成長がその後も見込めるならば、20年でも30年でも持ち続けられます。

まとめ

上場株に投資をする個人投資家は、機関投資家と同様に株式市場という戦場に入り込むわけですが、決して機関投資家と対峙せずに独自の居場所を確保することで機関投資家と同等以上のリターンを目指すことができます。

どちからかといえば長期投資の部類に入る戦略ですが、機関投資家に食い物にされると嘆くことなく、むしろ機関投資家と共存して利益を上げられる有効な戦略と考えます。