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伝家の宝刀は抜く直前が一番強い(株式投資の話です)

(注:今回のお話は、株投資の中でも、株式トレードではなく経営関与で収益を上げる戦略に特化したものです。チャートを見て売ったり買ったりするのには全く参考にならないお話であることをあらかじめご了承ください。)

 

はじめに

株式を保有していると、いろいろな権利がついてきます。

たとえば、配当請求権、議決権、株主提案権、会計帳簿閲覧請求権、株主総会招集請求権、などなど、持ち株数に応じて権利が付与されます。

有効な権利を保有していればいつでもこれらを行使できるのですが、少なからず会社の経営に影響を与えるものなので、どの権利をいつ行使するのかは重要な問題です。特に、少数株主権に含まれる各種の権利は、安易に行使すると、ただ経営を混乱させるだけで有害無益なものとなってしまうこともありますから、株主にとっては伝家の宝刀のようなものです。

伝家の宝刀の強さ(経験談あり)

レベル1.議決権を行使してみた(1単元~)

株主総会の季節になると、総会招集通知が送付されます。招集通知とともに議決権行使書が同封されており、議案に賛成するか否かに〇を付けて返送すれば議決権を行使できます。ですが、せっかく株主総会が開催されるのに郵送だけで済ますのはあまりにも淡泊だなと思い、総会まで出向き、さらに、議案に関していくつかの質問を総会の場で行いました。疑問点をはっきりさせるのは大切です。株主総会における質問というのは、株主が持つ伝家の宝刀の中では最も抜きやすいものだと思います。

不祥事があったり知名度が高かったりする会社であれば、数人ほどの株主が質問をするのが一般的です。その会社の製品・サービスのファンが株主に多いような場合、経営内容よりも製品・サービスの方向性を問う質問が出たりします。また、知名度が低い会社の場合、質問する人がおらずに淡々と決議が進む静かな株主総会となることもあります。

私が参加した株主総会知名度が低い会社のものだったので、「質問したのは私だけ」とか「私を含めて二人」などでした。普通であれば、質問に対して取締役が返答してお終いという程度のものでそれほど影響力のあるものではないのですが、「これから御社の経営にがっつり口を挟みますよ」という挨拶代わりに質問を出したら取締役の方々からマークされました。

レベル2.株主提案権を行使してみた(発行済み株式の1%~)

株式投資初心者にはあまりなじみのない権利を行使してみよう」などという好奇心でやってみたわけではないですが、経営関与の第一歩と言えば株主提案です。人生初の内容証明郵便で、取締役の選任に関する株主提案を出してみました。取締役の選任解任は株主権のうち最も重要な権利の一つです。提案された会社としても、総会における質問への回答のように「ご意見は伺っておきます」では済まされません。会社の方から私のところへ連絡が入りました。

結論から言えば、会社側と意見調整を行い、提案内容を他の株主に広く開示する前に私の提案を取り下げる形にしました。いったん抜いた伝家の宝刀を収めることになったわけです。上場企業であっても規模が小さいと、株主提案を受けた経験がないなんてこともあるようです(この時はそうでした)。こういうところだと、伝家の宝刀を抜いて見せるだけで、ある程度私の意見を聞いてもらう環境が作れてしまいます。

レベル3.会計帳簿閲覧請求権を行使してみ・・・た?(発行済み株式の3%~)

この権利はマジでヤバいやつです。会社としては絶対に見せたくない帳簿類をすべて見ることができてしまいます。営業戦略などが帳簿から透けて見えてしまいますから、不正があろうがなかろうが、会社としては会計帳簿を秘密にしておきたいものです。これを見せろというのですから、正に伝家の宝刀を抜く行為だと思います。

正確に言うと、私は会計帳簿閲覧請求権を行使したことはありません。ただし、「適法な請求権を持っているし場合によっては請求するよ」というスタンスでいることがいい意味で緊張感になっていると思っています(会社側にとってはウザいかもしれませんが)。

ところで、会計帳簿を実際に閲覧したとして、会社の不正を見抜くためには、少なくとも監査法人以上の分析能力を持つ必要があります。一介の個人投資家がそんな能力を持っているわけがありませんから、この伝家の宝刀は実は竹光なのです。抜いたら明らかに私の負けですが、抜かれると会社側も困るという微妙なパワーバランスです。

レベル4.会社解散の訴え⊂⌒~⊃。Д。)⊃(発行済み株式の10%~)

自分が出資した会社を解散させるように裁判所に訴えを起こす権利ですが、会社との合意ができずこの訴えを起こさざるを得ないようなシチュエーションは正直恐ろしいです。「この伝家の宝刀を抜いたら自分と相手の両方が死にます」みたいなことでしょうか。これは抜いちゃダメなヤツだ。。。

まとめ

株主権はいろいろありますが、個人投資家という立場では、「伝家の宝刀である権利を行使する気がある」という姿勢を見せることで「戦力誇示による目的達成」を謀るのが一番強く賢い選択肢のようです。